こんにちは、デザイナーのxiolkeeです。

『Life.(ライフドット)』という終活情報サービスのデザイン引き継ぎをするにあたり、サービスに関わるみんなで運用していくデザインガイドラインを作成しましたので、一連のプロセスを記録します。

ライフドットではデザイナーの制作物以外にも、編集者が制作するお墓や葬儀、仏壇に関する記事コンテンツ、営業職が制作する営業資料などのクリエイティブが多数存在します。

LPや記事、営業資料のイラストや写真、デザインテイストがサービスの成長に伴いバラついてきたため、「ライフドットらしいクリエイティブとは何か」を定義したデザインコンセプトVIガイドラインを再整備しました。

時間が限られていたこともあり、スピーディな意思決定を行うために最低限の人数でざっくりと以下のようなスケジュールで行いました。

期間:3週間 関わった人数:4人 

ライフドットは職能別で組織が分かれており、プロジェクトや事業状況に応じて各チームから必要な人員をアサインして流動的にチームを構成しています。

ライフドットでクリエイティブを制作するのはデザイナーだけではありません。

ライフドットはメディアでもあるため、マーケチームに所属する編集者メインで記事コンテンツを制作しています。

また、広告運用担当がテストマーケを行うにあたり簡易的にバナーを制作することもあります。

一方で営業メンバーでは新規提携や既存顧客に対して提案のための営業資料を独自で制作しています。

これまでライフドットのデザイン・クリエイティブ制作は私がリードしていたこともあり、デザイナーメンバーの成果物に関してはレビューに入り、それ以外の記事コンテンツや営業資料に対しても気づいた時にFBを行い修正するなどして品質をコントロールしていました。

しかし私自身の異動が決まり、ライフドットのデザインから離れることになったため、属人的なやり方で進めていたデザイン品質管理を、残されるデザイナーメンバーで事業スピードを損なわないように行える状態にする必要が出てきました。

レビュー時の良し悪しの判断基準が属人化していたことからクリエイティブ制作に対するデザイナー内の認識統一が課題となり、デザインコンセプトの言語化および、VIガイドラインの策定検討が始まりました。

当初は「私が不在となっても最低限デザイナーが制作するクリエイティブは誰であっても、同じ基準になるように」と思い、始めたことだったので、デザイナーのみでプロジェクトを進行する想定でいました。

しかし、記事コンテンツの制作を扱うマーケチームの責任者からも「コンテンツの品質を向上させたいので、一緒に参加したい」との声をいただきました。

サービス立ち上げ当初は認知力も低いため、クリエイティブの品質に対する重要度はそこまで高くなかったのですが、サービスが成長するに連れてライフドットが発信する情報を見ていただける機会も増え、業界への影響力も出てきたため、コンテンツの質に課題感を持ち始めたようです。

また同時期に企画営業Gからも今後新たにクライアントとの関係構築を進めていくにあたって営業担当独自で作っていた営業資料から、ライフドットの公式感ある営業資料を作りたいという悩みの声もいただいておりました。

私としても一貫したビジュアルコミュニケーションを通じたブランド価値向上を実現したいという想いをライフドットに参画当初から持っており、デザインコンセプトに基づいたクリエイティブ制作をデザイナだけでなく職能みんなで意識統一できている状態がコミュニケーションコストも抑えられて理想的だと常々考えていました。

プロジェクトを進める上でこのようなリクエストをいただけたことは個人的にとても後押しになりました。

かくして、引き継ぎの時間も限られていたため、目的の明文化とこの人が意思決定に関わっていればOKという承認を得た上で、私と今後品質管理を担っていただきたいデザイナー+マーケチームの代表1名の少数精鋭でスピーディにプロジェクトを進めていくことになりました。

進行は基本的に、figma上でワークショップを行いながら、意思決定を重ねていくというスタイルで進めました。

大きな問題としてはグラフィックや写真のテイストにバラツキが生じていることだったので、最終成果物としてグラフィックガイドラインと写真素材のガイドラインを作っていきます。

全体の流れは以下のように進めました。

1stワークショップ:デザインコンセプトを仮決め

2ndワークショップ:コンセプトに基づき、イラストのガイドラインを作成

3rdワークショップ:コンセプトに基づき、写真素材のガイドラインを作成+デザインコンセプトを確定

大枠は前回のEKKYO FESでの事例と同様、言葉とビジュアルを行き来しながら決めていきました。

デザインコンセプトを仮決めするにあたり、以下のようにイメージキーワードを発散、グルーピングします。

上記を元にデザインコンセプトとして、以下のように言葉を収束しました。

考えのベースとなる事業ミッション・サービスコンセプトは立ち上げ当初から言語化されており、サービスがローンチして4年が経過し、価値観なども一定浸透していたこともあって、0から考えるというよりは、これまで走ってきた中でメンバー各々の中にあるイメージをすり合わせる形式で進行しました。

次に、デザインコンセプトを踏まえて、それぞれ「このグラフィックはライフドットらしい」「これは違いそう」というもの事前に準備して認識を揃えていきます。

自分がGOODに入れたものが人によってはBADに入っていたり、その逆もあったりするので、なぜそのように分類したのか、メンバー同士議論し、可能な限り言語化していきます。

写真に関しても同様に良し悪しを発散、言語化、そしてガイドライン化していきました。

最終的にドキュメント化したものがこちらです。

ムードボードを作る際にGOOD, BADで言語化した内容を元にイラスト、写真のガイドラインを言語化しました。

また、OK事例・NG事例でそれぞれムードボードを作成し、なぜそうなのか言葉とセットでドキュメント化したことで迷った時に差分を取りに行きやすい状態になり判断しやすくなったと感じます。

EKKYO FESの事例からアップデートした部分は、

  • 各々のムードボードの差分を細かく議論し、デザインコンセプトに対するチームの解像度を上げていくこと
  • 最後に決める人をちゃんと置くこと
  • プロセスをオープンにすること

です。

前回はデザインコンセプトに対して認識が揃ったと思って、いざグラフィック制作に入るとイメージの食い違いが発生したことがありました。

EKKYO FESは関わるメンバーがデザイナーのみだったので軌道修正もスムーズでしたが、今回は決めた内容を最終的には事業メンバー全員に展開して運用に乗せる必要があります。

関わる職種が多く影響範囲が大きいのと、プロジェクトメンバーが中心となって啓蒙する形になるため、メンバー同士の認識がズレるとうまくいかない可能性が高くなります。

そのため、言葉の定義をはじめとした認識のすり合わせには細心の注意を払い、言語化を細かに行いました。

また、活発な議論をしっかりと収束させて、チームの意思決定に持っていくために、最終意思決定者を置きました。

プロジェクトメンバーが納得した状態で決める事は大前提ですが、どうしても収束しない場合は最終意思決定者がジャッジするというルールを設ける事で時間をかけすぎることがなくなります。

そして、今回のプロジェクトではプロセスを全てオープンにしています。

スピーディな意思決定を優先するために少数精鋭で行っていますが、最終的に運用するのはサービスに関わる全員になります。

クリエイティブ制作プロセスは職能内に閉じがちな一面もあるため、職能間の相互理解も狙ってどのような思想のもとライフドットのクリエイティブは設計されているのかということを知ってもらうことも大事にしました。

ワークショップ実施する際はチャットで事前告知するようにしたところ、マーケチームの他のメンバーやエンジニアもオブザーバーとして参加していただけました。

デザインコンセプト・VIガイドラインはつくって終わりではありません。

最初に示したように、「基準が統一され」、結果的に「品質担保と制作コスト低下を実現」、その先に「お客さんからのブランド認知の向上」などがあると考えています。

まずはきちんと基準を統一するためにデザイナー以外に対しても周知を行いました。

記事コンテンツの作成や、営業資料に関わるメンバーに対しては、プロジェクトの成果を共有する説明会の時間をとり、直接オンボーディングの機会を設けることでガイドラインの浸透を図りました。

その時の工夫として、ドキュメントを置く階層を「デザイナー」などのディレクトリ配下に置かないことを意識しました。

ささやかですが、”事業としての知見”が置かれるような場所に配置することで「デザイナー職に限ったものではなく、みんなで知っておくべき情報」ということが伝わるようにしました。

また、今回はグラフィック・写真のガイドラインを策定しましたが、デザインコンセプトに関してはユーザーとのコミュニケーションやUIのインタラクション表現など、ライフドット全体のデザイン思想の根幹に関わるものだと考えます。

そのため職能関わらずサービスに携わるメンバー一人一人が自分ごと化できるよう、啓蒙活動の一環としてzoom背景を全職種分制作して配布しました。

プロセスをオープンにしたことによる効果か、プロジェクトメンバー以外も積極的にzoom背景に設定していただけました。

ガイドラインが固まってからは過去のクリエイティブで優先度が高いものから順にイラストからアイキャッチ、営業資料までデザイナー主導でガイドラインに沿ったものに作り替えました。

プロジェクト発足段階から目的をしっかり伝えていたこと、オンボーディングでも丁寧に実施背景とガイドラインで定めた内容に至る経緯、コンセプトの説明を行ったことが功を奏し、デザイナー以外のメンバーも自発的に記事コンテンツのイラストの差し替えや新しい営業資料フォーマットを利用した提案資料を作成するなど、新たなクリエイティブへの切り替えがスムーズに行きました。

また、メンバーの日報からもVIガイドラインを定めたことによる意識の高まりや、制作のしやすさを実感いただけた声が上がりました。

事業に対する数字的成果軸でいくとなかなか優先度を上げづらいものだと思いますが、自発的にクリエイティブ刷新してもらえる状態を作れたのは今回の進め方の成果として非常に大きいものだと実感しています。

マーケチームの責任者にも協力いただき、コンセプト・ガイドライン策定後もデザインガイドラインを遵守する必要性・重要性について全員がいる前で周知いただけたのも非常に大きかったです。

ガイドライン作成は、UIパーツの文脈で語られることも多いですが、クリエイティブに関しても基準の統一や、その先のブランドの向上、事業の成長を考えて、実行してみたという話でした。

直接的に事業の数値が〇〇%伸びます、ということを測りづらいタイプの取り組みでもあるので、確実な「制作コストの削減」などと合わせて、デザイナーだけでなく他職能と協力して組織で取り組む意義を設定することも重要かなと思います。

デザイナーが増えてきたタイミングや、クリエイティブの基準を揃えないといけないタイミングで参考にしていただければ嬉しいです。

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