アドウェイズのデザイン領域には、100名以上のメンバーが在籍しています。

デザイン領域は、広告制作に関わるクリエイティブチームと、自社プロダクト開発に関わるサービスデザインチームに組織が分かれています。

2023年2月時点でのデザイン組織体制。

2つのチームの中でも、ゲーム、漫画などパートナー毎のドメインや、ディレクション/動画/グラフィック/サービスデザインなどの専門性ごとに、縦割りの組織形態が取られています。

事業に最適化した縦割り組織の中では、デザイナーの役割が細分化されてしまうことで、個々人がどのようにデザイナーとして成長していくのか想像しづらくなってしまいます。

そのような環境でもデザイナーが働き続けたいと思えるよう、アドウェイズのデザイン領域で取り組んでいる職位・職能の設計についてまとめます。

デザイン領域の業務は、主にパートナーとの広告制作や、自社プロダクトの開発に関わる、幅広い領域にまたがっています。

アドウェイズデザイン領域での主な業務範囲。

広告デザイン、グラフィックデザイン、動画デザイン、フロントエンド開発、クリエイティブディレクション、UI/UXデザイン...という領域ごとに対応して、デザイナーもアサインされている。

そこに対して、アドウェイズでは各領域で高い専門性を発揮できるよう、縦割りの組織体制を取り、デザイナーがそれぞれプロフェッショナルとしてアサインされています。

縦割り組織の中で、デザイナーがプロフェッショナルな役割を求められる一方で、所属するデザイナーにキャリアの登り方が示されていないという課題感がありました。

例えば

  • 一つの領域で一定プロフェッショナルになったあとの成長を感じづらい

  • 一つの役割だけ取り組むことに、飽きが生まれる

といった課題が生まれていました。

そのため、デザイナーがアドウェイズのデザイン領域の中で、専門性を高めながらも、キャリアを歩み続けられるようにする組織設計が求められていました。

多様な役割や職種を、デザイナー側から積極的に選択してキャリアを登れるようにするため、アドウェイズのデザイン領域では職位・職能を中心としたオープンな人事評価制度の設計と、キャリア形成支援の両面からアプローチしています。

デザイナー自身でキャリアを登っていけるように、職位と職能を中心としたオープンな人事評価制度の設計と、それを活用したキャリア形成支援に取り組んでいる。
  • デザイナーの役割とキャリアの登り方を示す
  • 目標設定のしくみと、役割を柔軟に変えやすい文化づくり

アプローチの目的は「転職という選択肢をしなくても、アドウェイズの中でデザイナーとしてのキャリアを歩めるようにする」ということです。

以下、具体的な内容についてまとめていきます。

職位や職能に対応した詳細な役割、キャリアの登り方を明確にすることで、縦割りの組織の中でも、キャリアアップや、キャリアチェンジが可能であることを示しています。

アドウェイズのデザイン領域では、職位と職能をかけ合わせたパターンごとに、詳細な役割を設定しています。

アドウェイズでの職位と職能の一部。これらをかけ合わせたパターンごとに、詳細な役割を設定している。

例えば、職位がミドルで、職能が動画デザイナーの方は「Middle Movie Designer」という役割名がつくようなイメージです。

これらの役割ごとに、詳細な職務概要(取り組む役割)と、全役割共通の7つの測定項目から、業務において求められるレベルが決められています。

職位と職能をかけ合わせたパターンごとに、役割を分解。それぞれの役割には達成すべき役割や、求められるレベルが詳細に決められています。

具体例として、「シニア×広告ディレクター」「ミドル×動画デザイナー」のジョブディスクリプションと測定項目のレベル定義の例を載せておきます。

実際の役割例:Senior Creative Director職の職務概要と、7つの評価項目のレベル
実際の役割例:Middle Movie Designer職の職務概要と、7つの評価項目のレベル

このように職位や職能を分解した役割ごとに、詳細な役割や求めるレベルを定義することによって、各々が取り組む役割が明確になるだけでなく、仮に今の職位や職能を変えたいと思った時にも、自然と次のキャリアを考えやすくなっています。

職位と職能のかけ合わせごとに役割を細分化した上で、デザイン領域の中でのキャリアの登り方も合わせて明示しています。

具体的には、アドウェイズでは一定等級が高まったあとのキャリアとして、専門職能と、マネジメントのどちらにも尖っていけるような職位の設計をしています。

アドウェイズでの職位の分解の図解。
ミドル以降のキャリアとして、マネジメントと専門職能(スペシャリスト)のどちらにも伸びていけるように職位を設定している。

そのため、アドウェイズデザイン領域に所属するメンバーは、複数の職能や、複数の職位の登り方をもとに、「専門職能に尖るのか、マネジメントに尖るのか」「どのような専門職能に尖っていくか」を自分自身で関心やキャリア像に沿って決めていくことができます。

複数の職能や、複数の職位の登り方を用意した上で、どのように伸びたいかをメンバー自身で選びやすくしている。

デザイン領域では最終的には、任せている職能×職位内のジョブディスクリプションの業務レベルを満たせているかどうかが評価の基準となっており、そのためにどのような職能や職位を目指すのかは本人の希望との組織の適正を見て、判断していくというという組織なスタンスを取っています。

職位×職能での役割をもとに、クオーターまたは半期ごとに個々人が追うOKRを設定してもらっています。かつ、それらを振り返る1on1を月単位で行うことで、個々人が今どのようなレベル感に達していて、どのような方向に伸びていきたいのか、を把握することができます。

チームのOKRは定例会で振り返りを行い、担当者全員で進捗を把握する。

アドウェイズのデザイン領域内では「自分はここを伸ばしていきたい」という意思とチームでの適正を見た上で、所属しているチームや、職位・職能をもとにした役割を柔軟に変えることができるようになっています。

例えば

  • 新しい職能を身に付けたため、別の職能の役割に転換する

  • 専門職能に尖っていくスペシャリストの方面からマネジメントの方面に変えていく

など、アドウェイズの中で、まるで転職したかのようなキャリアチェンジを行うことができます。

組織体制の改善や、制度の運用を通して、アドウェイズの中で、デザイナーとしての多様なキャリアが実現できています。

例えば、以下のような事例がアドウェイズの中で生まれています。

1.  営業職からの社内異動で、グラフィックデザイナーとして活躍したあと、動画デザイナーに転向したメンバー

2. 広告グラフィックデザイナーとして活躍したあと、広告ディレクターの役割に転向したメンバー

3. 広告グラフィックデザイナーとして新卒入社後、UI/UXデザイナーとして自社サービス開発に取り組むメンバー

効果としても、実際に毎年10%ほどのデザイナーが、役割の変更を行って社内でのキャリアチェンジ・キャリアアップを実現しており、結果として制度運用前よりも退職率も下がっています。

多様なキャリアを歩むメンバーの、アドウェイズデザイン領域での働き方についてコメントをいただきました。

今回アドウェイズのデザイン領域の組織マネジメントの中の評価制度を大公開させてもらいました。 今回ご紹介した、「職位×職能」の話やOKRなど、ほとんどのマネジメント機能は急にできたものではなく、何回もスクラップビルドを繰り返して、一般的にあるフレームワークを自分たちの組織にアレンジして活用しています。 世の中に価値ある事業を創ることができるのは「人」で、会社にとって人材というのは一番大事な財産だと思っています。 そのため、会社を通してデザイナーが成長を感じられ、より良い広告クリエイティブやサービスを世の中に提供し続けられる組織や環境づくりに力を注いできました。 今後も世の中や会社の変化に合わせてデザイナーのあり方も柔軟に変化できる組織に成長させていければと思います!

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