アドウェイズグループの子会社であるUNICORN株式会社は、これからのデジタルマーケティングを形作っていくプラットフォーム「UNICORN」を運営する会社です。

アドウェイズグループの、これからのデジタルマーケティングを形作るプラットフォームを運営するUNICORN株式会社

UNICORN株式会社は、2015年ごろに事業を提供開始してからずっと、世界観を踏まえたプロダクトづくりに取り組んできています。

その一つの例として、プロダクト主導でUNICORNの事業戦略 / プロダクト戦略を新たに引き直し、2024年5月に全社員に向けて共有しました。

プロダクト主導でつくったUNICORNの事業戦略 / プロダクト戦略

現場に強く浸透するように、世界観から丁寧に落とし込んだプロダクト戦略づくりの流れをまとめます。

UNICORNは、2015年に生まれたマーケティングプラットフォームです。当時としても後発でDSP市場に参入しましたが、事業成長し続けています。

UNICORNは2015年の創業以降、成長を続けてきた

UNICORNは、アドフラウドなどの誰かが損をする可能性のある広告を一切許容しない清廉潔白なプラットフォームとして、インターネット広告業界全体を牽引していくことを目指しています。

しかし、ここまで事業成長してきた上で、業界構造をゲームチェンジするまでには至っていないことから、さらに成長しながら、業界に対しても新しいUNICORNを示し、つくり変えていく必要がありました。

これまでは、このようなUNICORNの事業全体に影響するような戦略やロードマップは、経営層だけで考えていました。

しかし、組織の規模が急激に大きくなり、戦略レベルの理解が行き渡っていないことでいくつかの問題が起こっていました。

全社に戦略レベルの理解が浸透していないことで、いくつかの問題が起こっていた

・機能のロードマップはあるが、世界観は共有されていない
・プロダクトの機能の狙いも営業にうまく共有されないことも
・営業も自律的に売ってくるので、意図しない使われ方をすることも増えていた

このままそれぞれの営業が自由に売ってくることが続けば、プロダクトは後手後手の施策しか打てなくなり、業界構造を変えるようなプラットフォームとして確立できないだろうと危機感を持っていました。

営業も含めてチーム全体で共通認識を持つために、今回はプロダクト戦略策定のプロセスから運用まで全社員を巻き込むようにしていきます。

まずは営業メンバーを巻き込んで、現場のクライアントのニーズを集めにいきました。1〜2ヶ月の間、営業や提案を行う場面で、追加でヒアリングを行ってもらいます。

営業や提案を通して、現場のクライアントのニーズを集めていく

これらの声をグルーピングしてみて、結果として50以上の課題を集めることができました。

グルーピングしたところ、クライアント側を中心に、50以上の課題を集めることができた

ただ、集まった声を並べてみると、2つのポイントで解釈の必要性があることに気づきました。

  • ステークホルダーそれぞれが自分たちの主観だけで課題を考えている

  • 上がってくる声は表面的な課題解決を望むものが多く、本質的な課題解決につながらないものも多い

なので、UNICORNが関わるステークホルダーを広く理解した上で、広告配信全体を通して、すべてのステークホルダーに価値提供できる方法は何なのかを考えます。

現在は、クライアントである「広告主」の声を単一に拾ってしまいがちであること。一方で今後は、UNICORNを取り巻くステークホルダーとして、ユーザーやパブリッシャー(広告配信事業者) も重視していくことが必要であることを整理しました。

ステークホルダー環境を整理して、これからUNICORNとして重視していくべきステークホルダーを明示

さらに、これらのステークホルダーに対して価値を持続的に届け続けるために、UNICORNがどのような状態になるべきかを「あるべき姿」としてまとめていきました。

すべてのステークホルダーが価値を持続的に感じられるようになるために、UNICORNが目指す状態を「あるべき姿」として整理した

そこから、あるべき姿を叶えるためのボトルネックを整理し、ソリューションに落とし込んでいきます。

それぞれのあるべき姿をつくるためのソリューションを特定するために、課題を改めて優先度に沿って並べていく
あるべき姿に近づけていくためのボトルネックを解消するためのソリューションを定義した
ソリューションによって、それぞれのステークホルダーの課題が解決されることも確認

作成したプロダクト戦略を資料としてまとめ「下半期プロダクト戦略」として、全社に共有する機会を設けました。

下半期プロダクト戦略として、全社に共有する

大規模になっていく組織でも常に戦略が意識され続けるように、プロダクト戦略でまとめたソリューションをさらに具体化し、この半年間で取り組むプロジェクトをあらかじめ用意しています。

各プロジェクトには、それぞれリーダーを置き、自律的に推進してもらうような運用にしています。

ソリューションを具体化し、この半年間で取り組むプロジェクトをあらかじめ用意した

プロジェクトの元となる各ソリューションにはOKRを先に設定しています。

これにより、自律的なプロジェクト推進を促しても、全社としての動きはブレづらくなります。

ソリューションにはそれぞれ、あらかじめOKRを設定
これにより、ソリューションから分解するプロジェクトが自律的に動いても、全社としての動きはブレない

さらに、ビジネス側のメンバーとの連携も強めています。

通常、プロダクト戦略が引かれても、機能が追加されるまでには少し時間がかかります。ただ、その間に営業や提案を止めてしまっては、あるべき姿に到達するまでの時間がかかってしまいます。

そこで、営業には「最終的にあるべき姿に近づくようなクライアントを増やそう」ということを伝え、あるべき姿に向けて開発と企業獲得を両輪で進めていくようにしています。

あるべき姿を早く達成するためにも、プロダクト戦略の開発と、企業獲得は両輪で行う

具体的には、今ある機能をできるだけ思想に近づくような組み合わせで提案し、いずれ機能がアップデートされた時に、スムーズに移行・アップセルが起こるようにしてもらっています。

プロダクト戦略を変革してからそこまで期間は経っていませんが、戦略を意識し、自ら動いていくことができる人が、社内に明確に増えてきたように感じています。

例えば、戦略共有会の感想として以下のような声が集まりました。

戦略共有会の結果、社内からは、あるべき姿やソリューションに対しての共感の声が集まった

戦略設計や将来像を共有したことで、あるべき姿を強く浸透させることができているように思います。

創業当初・事業立ち上げの段階では、組織の規模も小さく、コミュニケーションを通じて共通認識を保つことができます。

しかし、事業や組織が拡大するにつれ、全てのメンバーと円滑に意思疎通を図ることが難しくなり、戦略と現場の認識に少しずつズレが発生するようになります。

認識のズレが生じると、戦略と実行にもズレが生まれ、結果として「インターネット広告をあるべき姿に変えていく」という目標の達成が困難になってしまいます。

そこで今回、プロダクト戦略の設計・浸透・運用を行うことで、認識のズレを防ぎ、一貫した戦略のもとで事業を推進していくことを目指しました。

UNICORNや、アドウェイズグループの広告事業として何より意識しているのは「インターネット広告を“あるべき姿”に変えていく」ということです。

これは、UNICORNを立ち上げた、アドウェイズ現代表のやましょーも強く意識していることです。UNICORNを運営する私たちとしても、ただの広告会社ではなく、業界を牽引し、誰もが損をしないような広告プラットフォームづくりに取り組んでいこうと思っています。

今後も、UNICORNをはじめ、アドウェイズグループ全体として、あるべき姿に向けてプロダクトから事業を動かすことに挑戦していきます。

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