SmartHRコミュニケーションデザイングループ(通称:コムデ)では、セールス、マーケティング、カスタマーサクセスなどの領域に対する制作を行うチームとして、「サービスデザインユニット」というチームを設けています。
2022年1月からできたこのユニットでは、SmartHRをご利用いただくお客さまや、導入を検討している企業さまのための制作を行っています。
サービスデザインユニットが関わる制作物やその体験は、お客さまの業務のしやすさや、SmartHRへの印象、サービスの導入や契約継続に直結します。
お客さまとも近く、事業の課題と密接に関わるSmartHRのサービスデザインユニットについて、1メンバーとしてその全体像や意識している点をまとめようと思います。
サービスデザインユニットでは、SmartHRのサービスをご検討・ご利用いただく方にとって最適な体験を届けられるよう、認知段階から導入後に効果を感じていただくまで、さまざまな接点を担当しています。
上記はあくまで一例であり、他にも営業資料や動画の制作・配信など、さまざまな部署と協力しながら多くの領域をカバーしています。
あえて広いカバー範囲を担当しているのは、お客さまにとっては、認知段階も効果実感のタイミングも、同じ「SmartHR」であり、一貫した体験を提供するためです。
一貫した体験を提供する一方、お客さまの状況によって、必要な制作物の種類が異なるのも事実です。
SmartHRを導入いただく前の段階では、SmartHRの価値をさまざまな点で感じていただけるような接点をつくっています。
サービスサイトだけではなく、広く人事・労務にまつわるお役立ち情報をお届けする「SmartHR Mag.」もサービスデザインユニットでは制作に関わっています。
また、サービスのご案内資料(営業資料)についても、そのデザイン制作はもちろん、サービスデザインユニットで依頼フローの整備などまで行っています。
SmartHRを導入いただいてからは、よりSmartHRをご活用いただくためのコンテンツや接点をつくっています。
ヘルプセンターなど使い方をサポートするコンテンツから、ユーザーコミュニティやイベントなどを提供するPARKなどまで、多様な接点での制作に関わっています。
また、SmartHRのアップデート情報についてセミナー形式でお伝えする「月刊SmartHR」におけるデザインも、関係部門のメンバーと協力しながら行っています。
セミナー関連についての具体的な取り組みは、(少し前の取り組みになりますが)過去にまとめたこちらもご覧ください。
これまで見てきたように、お客さまのさまざまなフェーズに対して制作を行っているサービスデザインユニットですが、根底にある考え方は、大きく2つあると思っています。
- 深さの追求 … 事業や、人事・労務部門や現場担当者の抱える、「課題」への深い理解
- 細やかさの追求 … 人事・労務担当者の、「実際の業務」に合わせた細やかなアウトプット
この2つを意識することで、お客さまにとっても、事業にとっても、デザインを軸に良い影響を出せると考えています。
「深さ」とは、事業の課題や、お客さまの状況を深く理解して、押さえるべきポイントを把握することです。それにより、制作物のクオリティはもちろん「何をつくるべきか」が変わってきます。
例えば、人事・労務にまつわるお役立ち情報をお届けするSmartHR Mag.のリニューアルでは、サイトのリデザインはもちろん、記事のアイキャッチなどの運用ガイドラインの策定も行いました。
運用ガイドラインには、アイキャッチのトーンや制作ガイド、イラストの選定時のポイントなどが掲載されています。
SmartHR Mag.はメディアであるため、サイトの構成やあしらいはもちろんですが、中にある記事、もっと言えば記事のアイキャッチがパッと見た際の印象を左右します。
そのため、サイトのリデザインだけでなく、このようなガイドラインまで作成し制作チームと共有しています。ガイドラインがあることで、リニューアル時だけでなく、運用を続けていく中でも狙いからブレない媒体であり続けることができます。
また、オンラインコミュニティのPARKではユーザーが増えてくるにともなって、場づくりや雰囲気づくりにも工夫を凝らしています。
人数が多い飲み会や、初対面の方が多い場だと発言のしやすさが下がってしまうように、コミュニティのユーザーが増えるごとに発言のしやすさはどうしても下がってしまいます。
そこで、イベントPARK fes.2023でのノベルティでは、コミュニティをともに育てるという意味と、発言のきっかけになる施策として、「栽培キットのプレゼント」を行いました。
結果として、多くの方に会話に参加いただき、コミュニティ内での発言が初めての方も多く見られました。
機能はもちろん、コミュニティやサービスへの愛着もSmartHRが選ばれる理由であり、差別化要因の一つであるため、このような施策、ノベルティに至りました。
これらのSmartHR Mag.やPARKでの例のように、「事業やお客さまの課題を捉えた制作になっているか?」「どこに力を入れて制作を進めるとよいか?」など、課題に深く入り込むことで、ただ制作するよりも一歩も二歩も深く潜っていくことを重要視しています。
深さが制作物の方向性を決めるものだとしたら、細やかさは制作物が、その方向性の中で、どれだけお客さまにとって良いものかを左右する大事な考え方です。お客さまの業務に合わせた自然な形になるように、日々制作を進めています。
例えば、SmartHRには、各機能についての利用をサポートする「機能ガイド」と呼ばれるコンテンツがあり、お客さまの視点から情報をまとめています。
その中の一つである年末調整ガイドでは、年末調整にまつわるステップごとの解説や、ヘルプセンターやオンラインセミナーの情報など、バラバラになりがちな情報を一箇所に掲載しています。
この年末調整ガイドの中では、(契約企業内の)バックオフィスご担当者が、社内に年末調整の周知やリマインドをする際の「社内お知らせ用バナーテンプレート」なども用意しています。
また、社員や会社の雰囲気に合わせて、いくつかのテンプレートから選べるようにしています。
そして静止画像だけではなく、年末調整の締切は企業さまによって異なるので、社内での締切を自社で編集できるパワーポイントのデータも2023年版から配布しています。
これによって、忙しい人事・労務の担当の方が楽に周知でき、また周知を受ける他の社員の方にとっても分かりやすくなることを狙っています。
実際にお客さまからは、以下のようなありがたい声をいただいています。
良い意味で「ここまでやるの?」と言われるぐらい、お客さまの業務シーンにとって自然に、馴染むような細やかさを追求しています。
導入いただいたらそこで終わり...ではもちろんなく、お客さまの業務がうまくいくように、サービスに関わるさまざまな点をデザイン軸で支援することで、良い体験を生み、継続利用など事業にも良い結果を生むと考えています。
現状のサービスデザインユニットは、各メンバーがセールスやマーケティング、カスタマーサクセスなど各ビジネス領域に「深く」潜って、「細やかな」制作を進めている状況です。
一方で、お客さまにとっては、一連の体験すべてがSmartHRとして感じられます。
そのため、共通し統一できる箇所の整備など、領域をまたいだ活動を今後は強化していきたいと考えています。
共通化できるところは仕組みに落としていくことで、お客さまにとって一貫した価値を感じていただけるようにしながら、制作サイドの判断コストや負荷を下げていくことができると感じています。
また、こうして仕組み化していくと、新しいことを試す余白、「遊び」ができてくるはずです。
さらにSmartHRの魅力を感じていただいたり、より事業を伸ばすために、(喫緊性の高い)必要なことだけをやるのではなく、新しい課題を見つけていくような余白をさらにつくっていく予定です。
サービスデザインユニットは、お客さまの目に触れる頻度の高い制作物や、日常業務を支えるような制作物を多くデザインしています。
そのため、事業が成長すると、制作するものも変わってきます。先ほどご紹介した年末調整の機能ガイドは、元々はカスタマーサクセスのメンバーが、お客さまに関連リンクをメールでお送りしていたことから始まりました。
メールを見ていただいているのに、「資料のリンクはどこですか?」と聞かれることも増え、お客さまに適切に伝わっていない場面があったため、機能ガイドとして、ページにまとめる施策を行いました。
単に「コンテンツのまとめを作ろう!」ではなく、あくまでも深い事業理解と、お客さまが自然に感じられるような細やかさを念頭においてデザインをしています。
私自身、制作会社でのデザインも経験してきましたが、このように事業の課題と一緒に制作物も成長できることや、事業の一員としてデザイン面から課題の解決に携われることは、SmartHRや事業会社の楽しさであり、やりがいだと感じます。
入社4年目になりますが、これからも「結果、お客さんにとってよかったか?」を考えながら制作を続けていこうと思います。