DMMの横串プロダクトデザイナー組織を運営している齊藤です。

50以上の事業を持ち、デザイナーも100人近くが所属するDMMでは、「縦割→縦横ハイブリッド→全社横串」とデザイン組織の体制を変更してきた歴史があります。

今回は、それぞれの組織体制をなぜ採用したのか、時期ごとに向き合ってきた課題や目的、最終的にDMMのプロダクトデザイナー組織が目指すことをまとめていきます。

デザイン組織検討の一つの事例として参考にしていただければ嬉しいです。

組織体制変更のきっかけとなった問題は、各事業に所属するデザイナーが依頼を受けてデザインをつくる体制では、つくったデザインがどのように事業に貢献しているか分かりづらく評価できないというものでした。

当時、依頼を受けてデザインをつくる関わり方だったため、作ったデザインが事業に影響できているかどうかが分からなかった

そのような状況が社内の至る所で見られ、他職種からもデザインの評価ができず、改善や対策の指示もできない状態になっていました。

DMMのデザイナーが一人でも多く、ユーザー目線を持ちプロダクト作りに主体的に関わる事で、事業への貢献度合いを分かりやすくしたい。また、デザイナーが成長したその先のキャリアを開発する上でも、組織体制からアプローチするのが良いのではと考えました。

そのような背景を受け、この4年間でDMMのデザイン組織は、縦割組織→縦横ハイブリッド組織→プロダクトデザイナー全社横串組織、という変遷を辿ってきています。

デザイン組織の体制を「縦割り→横串→全社横串」と変えてきた

組織体制を変える上で、一番重視しているのは「事業貢献の為に動けるデザイナーを増やす必要がある」ということです。

約60の事業を運営しているDMMでは、事業に貢献できるデザイナーを増やしていくことが重要

DMMは20を超えるグループ会社と、約60の事業を運営しており、さらに新規事業もどんどん生まれ続けているため、事業に貢献できるデザイナーが増えることが不可欠です。

DMM.ESSENCEでも「ちゃんと稼ぐこと。」というメッセージを掲げていますが、事業やサービスを通し売上や利益に繋がる数字への意識を強く持つ事は、DMMのプロダクトデザイナーにとって必須と言っていい素養となっています。

ここからは、そのような考えをもとに、時期ごとにどのような課題に向き合い、どのような体制を取ってきたのかまとめていきます。

2018年頃は事業組織にクリエイター(エンジニア/デザイナー)が専属で配属される縦割りの構造を取っていました。

事業に対してデザイナーが所属する、縦割りの組織構造

目指していたのは「事業が増える中で事業一つ一つの速度を上げ、個々がプロダクトに対し主体性を持ちコミットすることを促す」ということです。

結果として、縦割り組織にしたことで、個々の事業を進める速度と事業へのコミット意識は増進されました。

しかし、所属デザイナーの専門性を発揮できる事業活動が常にある訳ではなく、また事業を多く生み出す反面で撤退判断をする事もあるため

  • デザイン業務の内容が固定化され、成長が鈍化する
  • 長期視点に立った時、デザイナーのキャリアケアができる環境がない
  • 事業組織をまたいだ全体的な取り組みが行われづらい

という課題が生まれ始めてきていたことから、組織体制のアップデートに踏み切ることにしました。

2019年〜2021年、事業速度を落とさず、デザイン組織や事業をまたいだ取り組みを行えるようにするために、事業部縦割りの体制に加えて横断的な立ち振る舞いをする横串のデザイン組織を設立しました。縦横ハイブリッド型組織と名付けています。

各事業に所属する縦割りの体制に加えて、複数事業をまたぐ横串の横断組織をつくった

縦横ハイブリッド型組織では、運用/運営が得意な事業所属デザイナーと分割し、専門性があり横断的に動くプロダクトデザイナーを抱えた横串デザイン組織を用意しています。

横串デザイン組織のプロダクトデザイナーは、1つの事業で一つの役割を担当するのではなく、1つの事業内で複数の役割を担ったり、複数事業に並行で携わるなど、スピーディーにアサインを変更していきます。

事業/プロダクトフェーズを考慮し、専門性がフィットするプロダクトデザイナーをアサイン

また、プロダクト文脈でのKPI設計や体験の整理を行い、事業関係者や事業所属のデザイナーとの橋渡しをしています。

プロダクト文脈でのKPI設計、体験の整理で、事業関係者や事業所属のデザイナーとの連携を促進

単一プロダクトと何年もかけて向き合う事業関係者(他職能者、運用/運営を担う事業所属デザイナー)と円滑なコミュニケーションが行えるようにするには、プロダクトデザイナー個々の吸収力だけでは限界があるため、このような体制を取りました。

横串デザイン組織を置いたことで、以下のような効果が生まれました。

  • 横串デザイン組織のプロダクトデザイナーは、プロダクトの立ち上げやリニューアル、事業規模が大きいグロース関連業務に定常的に関わることができるため、業務を通して各人の専門性を伸ばすアサインが行えるようになった。
  • それぞれに「UXデザイン / UIデザイン / グラフィックデザイン」のいずれかをメインスキルとし、サブスキルを業務の中で習得する事を促すことで、事業要求に沿ったデザインチーム編成が可能になった。
  • 複数のデザイナーが一つのプロダクトの中で共創する事で学びの共有が行われるようになった。

具体的には、横串プロダクトデザイナー組織 (デザイン部)の村田さんの動き方や

同組織の根本さんがまとめてくれた事業をまたぐプロダクト設計のアプローチをご覧ください。

この体制変更と施策により、各事業/プロダクトにて主体性を持ち貢献できるプロダクトデザイナーは着実に増えていきましたが、同時にそれらを繋いだ事業群に対しアプローチし戦略的に連動させるニーズが増えてきたことで、さらなる体制変更に踏み切りました。

そして2022年4月から現在、横断組織の取り組みを強めた全社横串組織へと体制変更しました。

事業単位だけでなく、事業群への横断的な役割へと、プロダクトデザイナーのステップアップを目指した全社横串組織

この組織体制によって、1事業だけでなく、事業群を扱えるデザイナーをもっと増やしていくことを目指しています。

全社横串組織において、デザイナーは横断的な立ち振る舞いと事業専属の両方の役割を担えることが求められています。ユーザー目線を事業を横断して捉え、プロダクトとプロダクトの接着剤としての役割を持つようなイメージです。

複数事業を経験した上で、全体的なUXを把握する各事業専属のプロダクトデザイナーになってもらう

縦横ハイブリッド型組織の時と同様に、プロダクト文脈でのKPI設計や体験整理で事業関係者とプロダクトデザイナーの連携は引き続き行い、チームメンバーとの共創を通してDMMサービスの理解を深めてもらいます。

そして、十分個々の事業の立ち上げに関わったプロダクトデザイナーは、全社的な改善推進や、複数の事業をまたぐ役割を担ってもらうようにしています。

ここまでの経緯を踏まえ、プロダクトデザイナーのみなさんには全社横断的に新たなミッションを担う意味について「プロダクトデザイナービジョン」をつくり共有させてもらいました。

このように、縦割り、縦横ハイブリッド、全社横串とプロダクトデザイナー組織を変遷させていきながら「事業貢献の為に動けるデザイナーを増やすための試行錯誤」を続けてきました。

もちろん、ただ組織体制を変えるだけでは浸透・定着は起こりません。

評価体制の改善や、ナレッジの共有・育成などの支援も行いながら、役割を広げプロダクトデザイナーのその先のキャリア形成を行っていけるよう全社として取り組んでいます。

ここまでDMMのデザイン組織の変遷をご紹介させていただきましたが、組織構造の変革は手段の一つにすぎません。デザイナーの役割の拡張と会社の成長の中で、また新たな組織の変革が必要になっていくこともあるかと思います。

インハウスのプロダクトデザイナーとして事業貢献し、より良いデザインをお客様に届けるためには、「プロダクトを立ち上げて育て、それらをつなげてもっと大きく育てる」ような、広く横断し体験をデザインする重要性が今後もより一層高まってくると考えます。

その中で欠かせないのは「もっと事業に貢献できるようになるために、もっともっとデザイナーとしてみんなで成長していこう」ということです。

今後も「なんでもやってるDMM」の事業づくりを支える組織づくりに取り組んでいきます。

このデザイン組織をもっと知る